こんにちは。
前回に引き続き、関税法からの話となります。
①納期限の延長(関税法9条の2)
関税等の納付(同9条)にも軽く触れていきますが、試験の重要度としては最も高いランクです。
もちろん通関現場でも重要なのですが、業務としては定められた手続きに従って進めて行くので改めての意識は働かないかもしれません。
殆どの通関業者においてNACCS端末での申告となっているので、客先によっての納税方法をNACCSに入力する事で納税まで出来てしまいます。
関税等が納税されないと許可にはならないと言う原則ですが、そのいくつかの納税方法において指定の口座から納税しようとした時に口座の残金が不足していると許可にはなりません。ほぼ自動引き落としとなるのですが、申告前にしっかりと納税対象の口座残高をしっかり確認しておく必要があります。
口座は輸入者の口座か通関業者の口座となります。
通関上、トラブルやイレギュラー案件の場合でNACCSでの申告でなくマニュアル申告(驚くべき事ですがまだあるんです、マニュアル申告!)になる場合、納税方法は正に条文にある通りの手続きとなります。納付書が発行されそれを持って銀行に振り込み……納税証明として税関に提出。提出前に税関に連絡すれば税関の方で着金したかの確認をとってくれたようにも思います。
ですのでこの手続きの流れは現場でも使う知識となります。
さて、その中での制度で納期限の延長についてです。客先によってはこの制度を使っている場合があり、通関業務の受託の際確認が必要です。細かい制度の話は省きますが、通関現場の作業としては口座から納税する方法と変わりはなく所定の入力方法で輸入申告をするのみです。個別延長と包括延長がありますが、自分の経験の中では包括が多いように思います。なお通関現場では納期限の延長制度を延納(包括なら包括延納)と呼んでいる所もあります。
この制度は担保を積む事がほぼ必須となるのですが、私の持っているテキストには担保の種類について記載がなく(私が以前勉強した時の同出版社のテキストには載っていましたが)、いくつか種類があるのですが一番多いのは金融機関の保証書のように思います。
現場では客先の依頼により、延納申請手続きをする事があります。これは覚えておくべき業務ですね(試験とは関係ありません)。
担保が金融機関の保証書という事で、全ての企業ができるわけでもなく(前に触れたBP申請と同様)、ある程度余裕のある企業でないと使われない制度なのかとも思います。
②附帯税(延滞税/12条、過少申告加算税/12条の2、無申告加算税/12条の3、重加算税/12条の4)
今回のブログは制度の説明ではないので内容は省きます。
延滞税ですが、修正申告が発生する際に附帯税が発生し、修正申告もNACCSで処理をするので附帯税も自動計算されます(身も蓋もない話ですが)。
かなり以前のNACCSは自動計算されず手計算だった記憶があるのですが最近(?)のは自動計算になっています。なのでしばらくやってないと計算式は忘れてしまいます(笑)。
修正申告が(業務として)発生するタイミングですが、場合によりますが突発に依頼されるケースがありすぐに処理(申告→納税手続き)しないと延滞税が増えていきますので注意が必要です。依頼主(輸入者)からは急かされます。
無申告加算税と重加算税は、私の経験の中ではありません。余程の事がないと出くわさないかもしれませんね。
最後に過少申告加算税です。
これは現場で仕事されている方は最も思い当たる所が有ると思います。
試験勉強されている方は、どう言う場面で発生するのか?とイメージがわかない方もいらっしゃると思います。
大きく分けると、HS(税率)適用間違いの申告、または課税価格(特に加算要素の加算忘れ)の間違いによる申告、この二つの場合が多いと思います。
後者の場合は、輸入者から渡された通関書類以外に加算要素があり、輸入者がその存在を知らず、または加算すべき事を認識せず、そのまま申告してしまった場合ですね。もちろん通関業者としては細かく確認をして申告を進めておりますが、川上以前のものは通関業者の立ち位置としてはなかなか確認が難しいです。税関の事後調査の部門が輸入者の元に調査に入った際に発覚し修正申告と共に過少申告加算勢(プラス延滞税)が発生したりします。
前者の場合は日常的な通関業者(通関士)の業務の中で発生しやすく、通関士の見解、輸入者からの商品についての情報提供の間違いや不足、商品の税関検査を経て判明した事実等で、申告すべき正しいHSと申告したHSが異なってしまう事があります。当初申告した税率が低く本来申告すべき税率が高い場合、申告価格(課税価格)によっては過少申告加算税が適用になってしまうケースがあります。ここはしっかりと頭の中に入れて業務を進めるべき重要なポイントの一つですね。
また次回に続きます。